映画「かもめ食堂」が良いのは、やっぱり食べ物がすごく美味しそうだからだと思う。
もちろん、キャストの小林聡美、片桐はいり、そして、もたいまさこといった癖のある、よく言えば、個性的な役者が揃っていることもあるのだけれど、小林聡美が作る「サンドイッチ」や「おにぎり」がとにかく美味しそうで。
この食べ物をコーディネイトしたのが、フードスタイリストの「飯島奈美」さん。映画「めがね」「東京タワー」「味の素 ほんだし」の料理も手がけた彼女の、朝ごはんレシピ集が出来た。
そして、ほぼ日が、彼女に「かもめとめがねのご飯食べさせてください」と企画したのが、ほぼ日刊イトイ新聞 – かもめとめがねのおいしいごはん。この「朝ごはんの献立」にもある「かりかりの目玉焼き」の作り方が載っている。
めがねのご飯について、飯島さんは、
『めがね』は、宿やさんのごはんだけれど、「むだに品数が多くない、 ほんとうに食べたいものだけを出す、おおげさではない料理」をこころがけたそうです。
フライパンに油をペーパーでうっすらひくんです。最初はちょっと熱くしておいて、そこに新鮮な卵を1個ずつ割り入れます。安定してきたら、まわりにちょっとだけ、油を足すんです。まわりがかりっといい感じになったら、その油もふき取ります。そこでちょっと水を入れて、瞬間、蒸らします
この目玉焼きにしたって、3段階に焼きわけた上で、撮影用だけれど、美しさよりも、リアルな美味しさをとって、白身のふちがカリカリのものに決まったらしい。
これは写真を撮ってる写真家・高橋ヨーコさんの力も大きいとは思うけれど、見せるためでも、自慢するためでもなく、それをきちんと口にする人のことを、そして、食べ物への愛が感じられる料理だというのがよくわかった。
そういう料理は温かい。
私もそういう料理を作っていきたいと思う。
美味しい料理は食べるのも好きだけれど、作るのも楽しい。全てが血肉になっている気がするから。栄養、という意味ではなくて、色々なものが。