寒気が流れ込んで寒い一日に、という予報は嬉しくも外れた。京都の夜。COCON KARASUMAもイルミネーションに彩られいた。
待ち合わせは、私の勘違いでうまくいかなかったけれど、なんとかいつもの三人が揃った。さぁ、行こうか。大丸から少し河原町方面へ向かうと、堺町通り境町通りがある。そこを下がると一瞬で街の喧噪から逃れられた。しばらく歩けば、小さな灯りが灯る町家が見つかる。
restaurant iro(レストラン イロ)
暖簾をくぐれば、石畳のアプローチ。右手には厨房とガラスでくぎられており、そこで働く料理人たちの様子がうかがえる。店内はそれほど広くはなく、入って右側には4人がけのテーブル席が二つ、左側には2人がけのテーブル。Jazzが流れ間接照明の暗さが心地よい。和紙に描かれた竹もまた京都らしさを演出しているし、その墨の色が町屋の黒い板壁とぴったりだ。
まずは乾杯から。鶯梅で。
つきだしは、とろとろ湯葉豆腐の揚げだし。これが驚くほどの美味しさで、三人とも目をみはってしまった。口の中でとろける。つきだしでこのレベル?!と「睦月」が囁く。ちょっと驚きだね。
蟹と蟹ミソの生春巻き。しっかりとした味つけとさっぱりとしたたれがぴったり。
お造り三種盛り。これは器がとても素敵で、どう言えばいいんだろう。ぎょうざの皮をつつむ時のようなあのひねりが加わっているような感じで。柄もいい。
手作り水餃子の小鍋風。冬にはやっぱりあったかいものがいい、と頼んだのだけれど、これがまたつるんつるんとのどごしが最高。水餃子の肝は「皮」にある。すくっただけでやぶけるようなものは問題外、でも口の中ではするんとやぶれてほしい。文句なし。味付けたれもポン酢でさっぱりと。
海の幸とキノコのほう葉焼き。睦月がどうしても食べたい、というので。ほう葉にみそを塗りつけてあるから、しばらくすると焦げたミソの匂いがなんとも言えず香ばしい。
なんこつの柚子風味。こりこりとした歯ごたえに、ちょっと辛みのある柚子胡椒。
鰻と温玉の石焼トロロごはん。美味しいに決まってる!ウナギの甘味と温泉卵ととろろでしょ?
ピリ辛きゅうりの中華風。おつけ物が欲しいと睦月が言ったけれど、これしかなかった。まぁこれはこれで美味しかったけれど。
正直言って、それほど期待してなかった。というのも、もともと行きたかった店がどれも予約がいっぱいで、ようやくとれたのがここだったから。しかし、ここは「穴場」でした。今まで京都で訪れた店の中でもかなり美味しい部類に入るし、雰囲気も落ち着いててすごくいい。とにかく料理が一品一品際だって美味しいのだ!普通、こんなものだろう、と思って頼むとすべてその予想以上のものが出てくる。
今夜行った店は、格別だった。
こういう店に出会えることはめったにない。
店の雰囲気も、料理も、スタッフの対応も
その心地よさに文句はない。
また行きたいと思える店に出会う、というのは
実はわりと難しいことなのだ、という事が
この歳になるとよくよく思い知らされるのだけれど。
そうして、私たちはまた楽しい一夜を過ごす。
時間を忘れて。
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restaurant IRO(グルメwalker)
ホットペッパー
住所/京都市下京区堺町通四条下ル小石町120
TEL/075-371-1616
営業時間/17:30~24:00(LO23:30)
[金土・祝前日]17:30~翌1:00(LO24:30)