LAタイムズ一面にJ・デップの新作映画の全面広告、議論噴出(CNN.co.jp) – Yahoo!ニュースで知ったニュース。
3月5日、ロサンゼルス・タイムズの一面に、この春、日本でも公開されるジョニー・デップの最新作「Alice in the wonderland(アリス・イン・ザ・ワンダーランド/不思議の国のアリス)」の全面広告が掲載されました。
(via AltFilm Guide)
(2010.3.9追記)全面と背面の広告が見られます→メディア・パブ: LAタイムズ紙のフロントページ、70万ドルで映画広告が乗っ取る
この全面広告がジャーナリズムとは何か、ということで大きな議論を呼んでいるようです。
映画ブログの一つである「AltFilm Guide」がそのことについて書いていたので、それを掲載しておきます。(相方が訳してくれました、ありがとう!)
AltFilm 和訳
「不思議の国のアリス」が発表され、既に議論を巻き起こしている。ティム・バートンの映画自体というわけではない。
もちろん、この映画には、人々が性差別的、人種差別的、異教徒的と感じる部分もある。ここで私が言っているのは、ロサンジェルスタイムズにおける映画の広告のことだ。
発行人欄などがあるはずのロサンジェルスタイムズの一面は、一見、新聞の一面のようには 見えなくなっている。
ジョニー・デップのピエロの格好をした「気違い帽子屋」が、衛生面とアフガニスタンについてのでっちあげのニュースを伝えているのだ。
「我々は親密にディズニーと共同して、不思議の国のアリスを宣伝する助けになる一風変わった目立つ手法を思いついた。」
The Wrapのシャロン・ワックスマンはタイムズの広報担当であるジョン・コンロィの発言をこのように引用している。「この宣伝は、クチコミを増やすためにデザインされ、素晴らしいマーケットキャンペーンを行っているこの映画を さらに広く世の中に知らしめるために企画された」
ワックスマンはまた、サウスカリフォルニア大学でジャーナリズムについて教えていたロバート・ナイルの言葉も引用している。
彼は昨年、前回ロサンジェルスタイムズが一面を広告に売り渡したことは『このようなことをすれば人々がパニックに陥るなんて考えられないほど思考停止していることの現れである』と言っている。
「ニュースを扱う機関が自身のニュース記事をおおいつくすような広告を実際に打ってしまうことは非常な危険な路をつきすすんでいる」とナイルはつけくわえた。
「これは、本当に読者に対する敬意がなく、自身の編集した製品に対する誇りが損失していることを示している。個人的には、この件全体について何を言えばいいのかわからないが、赤の女王だったら言う、あるいは叫ぶだろうことは僕にはわかっている。彼女は正しいだろうね。」
ジェイミー・コートも、ハッフィントンポストにおいてこのタイムズの件について言及している。
—————————-記事ここまで—————————-
特に、ハッフィントンポストは「恥を知れ!LAタイムズ」という見出しで、このことについて非常に怒りを顕にしています。先日、LAタイムズは、エディトリアルスタッフを半分にリストラしたことで一線をこえたけれども、さらにこんな風に一面を広告に売り渡したことでまた一線をこえてしまったと嘆いており、最後に「恥を知れ」と激しく批判しています。
ちょうど、昨夜、このプレゼンを見たばかりだったこともあり、新聞のデザインとは、というのは非常に考えさせられました。
ジャチェック・ウツコは問う「デザインは新聞を救えるか?」 | Video on TED.com
「東ヨーロッパの新聞をリデザインすることで数多くの賞を受賞するだけでなく、購読数を100%まで回復させたポーランドの新聞デザイナー」ジャチェック・ウツコは、事実を読みやすく、あるいは、目にとまるようなデザインにすることで購読者数を増やしましたが、今回は新聞の一面、いわゆる社説やロゴ、発行欄などがのせられる新聞の顔であり、最も主張する場所を「広告」に売り渡した、とみなされたことで、こういった議論がまきおこったのだと言えます。
広告を含め新聞のデザインとはどういうものであるべきか。その答えの一つが、この動画にあるような気がします。
確かにこの広告自体は目をひきますし、私は「不思議の国のアリス」が大好きでこの映画も非常に楽しみにしているのですが、新聞の一面という場所にこういった広告を出して売り渡すことで、お金とそして一瞬の話題を得たとともに、LAタイムズは自らの信頼性、価値などを失ってしまったのではないでしょうか。
さて、そんなAlice in the wonderlandの日本公開は4/17です。
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