手間さえ惜しまなければ大抵のことはわかる

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今日はとても驚いた。

でも、自分が何をどうすれば、欲しいものが手に入れられるかはわかっていたので、私は一つ一つそれを着実にした。それだけの話。だから、そんなに驚くことじゃないし、恐縮することもないのにね。

新聞で偶然彼女の死を知った友人が電話で僕にそれを教えてくれた。

「葬式はどこでやるんだろう?」と僕は訊ねてみた。
「さあ、わからないな」と彼は言った。「だいいち、あの子に家なんてあったのかな?」

もちろん彼女にも家はあった。
僕はその日のうちに警察に電話をかけて彼女の実家の住所と電話番号を教えてもらい、それから実家に電話をかけて葬儀の日取りを聞いた。誰かが言っているように、手間さえ惜しまなければ大抵のことはわかるものなのだ。

村上春樹「羊をめぐる冒険〈上〉 (講談社文庫)」

私はこの小説を読んでいたし、覚えてもいた。

手間暇を惜しまなければ、大抵のことはわかる、というのは本当だった。病院というのは、個人情報のからみか誰が入院しているか、というのは教えてくれないようだ。昔はそうでもなかった気がするけど、多分変わってしまったんだろう。ずいぶんと不便だね。

私が以前入院した病院では、入院時に外部から問い合わせがあった時に答えていいかどうかを訊ねてくれた。今日電話したところは、電話での問い合わせは一切受け付けないところだった。けれど実際に病院に行って総合受付で名前を言えば教えてもらえるそうで、そうしたらあっさりと調べてくれた。それもどうなんだろうと思うけど。なんで電話じゃだめなんだ。よくわからないな。

その後で警察に電話を。警察官もおおむね親切だった。

何を知りたいのかがわかっていて、それが何と関連しているのかを考えて交渉する相手を間違わなければ、7割ぐらいの情報は手に入るんじゃないかと思った、そんな一日でした。

羊をめぐる冒険〈上〉 (講談社文庫)
村上 春樹
講談社
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