「やっと、胸の穴がほんの少しだけ塞がってきた気がする」丸3年かかったな、とボソリと父がつぶやきました。普段はそんな風には見せなかったけれど、父も3年かけてようやく一区切りつけられたのかもしれません。母がいなくなって4回目の初夏がやってきました。
今もなお、後悔が胸に押し寄せる時があります。どうしてもっと母といる時間を増やせなかったのか、どうして前日に帰ってきてしまったのか、どうして、どうして。
答えのない問いだとわかってはいるんですよね。そんなことを言っても仕方がないことも。楽しいこともたくさんあったことも。
それでも、やっぱり後悔することはあります。
そして、母がいてくれたらな、と、子をもった今だからこそ何度となく思うのです。母に見せたかったとも。小さい頃から大人になってからも幾度も入院して心配をかけてばかりだった末っ子でしたから、安心させてあげたかった。
父が丹精こめて世話している薔薇が、庭の至るところで見事に咲きはじめています。今日はその薔薇を摘み、父と姉がお墓参りに行ってくれました。私と子はお留守番。
もしかしたら、父は母の誕生日でもあり、命日でもある5月に一番綺麗に花をつけるから、薔薇をたくさん植えたのかもしれません。
もう数年したら、5月は薔薇園のような庭になりそうだよ、お母さん。