お正月は毎年、私の実家で過ごすので初詣も近くの神社とお寺さんに行きます。けれど、大阪のお正月は実は松の内があけてからが本番!商売繁盛の神様「えべっさん」を祀る今宮戎の「十日戎(とおかえびす)」は、商人の街・大阪らしい賑やかで派手な行列とあわさって三日三晩行われます。これに行かないとお正月は終わらない?!ということで、今年はお詣りしてみることにしました。
十日戎とは
1月10日の十日戎をはさんで前後の9日(宵戎)、11日(残り戎/残り福)で開催される戎社のお祭り。関西ではよく知られていますが、関西以外ではあまりメジャーではありません。
兵庫県の西宮戎、大阪の今宮戎、京都の堀川戎が有名。特に大阪の今宮神社はお賽銭に札がじゃんじゃん飛び交う派手さで知られています。
境内では「商売繁盛笹持ってこい」という掛け声とともに、福娘に福笹を求め、彼女たちに吉兆(飾り)をつけてもらったら、持ち帰って一年間飾っておくのが習わし。
大阪・今宮戎神社での参拝の手法
正面入口から入り、本殿正面でえびす様を拝んだあと、裏にまわって銅鑼をたたき、「えべっさーん!たのんまっせ!」と念を押す。これはえべっさんは耳が遠いため、くどいほど念を押さないと願いを聞き届けてもらえない、と言われているらしい。なんとも庶民的な神様(笑)
本殿のそばでは福笹が無料で配られています。この時大きすぎるのを選ぶと、飾りの吉兆もたくさんつけないと見栄えが悪くなるので、バランスを考えて選ぶのがベター。
吉兆は、銭袋・小判・大福帳・打ち出の小槌・米俵・鯛などなど。山海の幸を象徴しているそうです。1,500円〜2,500円と、あんなに小さいのに結構なお値段がするのです。じゃらじゃらと吉兆をつけている笹は…1万円〜2万円ぐらいするのです!つい他の人のを見てしまうのでした。
宝恵駕籠(ほえかご)行列について
大阪・ミナミの花街の芸妓衆が旦那衆の代わりにかごに乗り参詣したのが由来で、18世紀中頃に行事化されました。最盛期には、数百挺から千挺以上出されたとか。
現在は芸能人など多くの有名人、福娘などが籠に乗り「ほえかご、ほえかご」の掛け声とともにミナミの中心地を練り歩きます。
今年の宝恵駕籠行列に乗ったのは
今年は、
松竹座の四代目・中村鴈治郎さん、中村壱太郎さん、日本舞踊上方舞山村流の山村友五郎さん、吉本興業の坂田利夫さん、NHK連続テレビ小説「マッサン」ヒロインのシャーロット・ケイト・フォックスさん、OSK日本歌劇団の高世麻央さん、松竹芸能の海原はるか・かなたさん
などが参加。10:30頃にちょうど道頓堀に着いたのですが、戎橋南詰の「戎舞台」でマッサンのエリー(シャーロット・ケイトフォックス)含む参加者が挨拶するのに間に合いました。エリーが登場すると大盛り上がり。可愛い!
戎舞台に行くまでに、ちょうど松竹座の前で四代目・中村鴈治郎さんと中村壱太郎さんの新春のご挨拶に出くわしました。
そしていよいよ宝恵駕籠行列がスタート。行列と一緒に練り歩いて今宮戎まで行ってもいいのですが、毎年のルートは事前に公開されているので、うまく道をショートカットすると2、3回行列を最初から楽しめます。
日本舞踊上方舞山村流の山村友五郎さん。
松竹座、中村壱太郎さん。
既に終わってしまいましたが、NHK朝ドラ「マッサン」のヒロインだったシャーロット・ケイト・フォックスさん。日本のこういうお祭りに参加するのは初めてでしょうが、はにかんだ様子がとても愛らしい。
手をふって観衆にこたえるエリー。
常ににこにこと笑顔。いやあ、可愛いなぁ。
毎日放送の山本アナも大人気でした。
国立文楽劇場の文楽人形遣い、桐竹勘十郎さん。
日本舞踊上方舞山村流の山村友五郎さん。
ミナミの芸妓・佳世子さん。
今年の福娘。
こちらはなんの行列だったかわからないのですが、ちょっと宇宙人っぽい?にっこりと笑顔を向けてくれました。
「ほーえかーご、ほーえかーご」と囃しながら、行列はなんばグランド花月前までやってきました。
このあたりで一旦行列とはわかれ、道具屋筋商店街を通って今宮戎へと向かいます。
参道には屋台がたくさん出ています。今年はちょうど土日に十日戎があたったため、ものすごい賑わいでした。
熊手も販売されていますが、これが結構お高いんですよね!
今宮戎に到着!本殿で参拝
警備員に誘導されながら神社の鳥居をくぐると、これまたすごい!満員電車かと思うほどぎゅうぎゅう詰めのところも。ともかく本殿でお詣り。お賽銭箱には、前評判通り札がたくさん……!さすが!!思わず「商売繁盛…」という言葉が口をついて出そうになりました。すごいわ。
福笹と吉兆と福娘たち
福娘と福男?がどんどん参拝者に福笹を配っていきますが、やはり人気が集まるのは福娘のところ。(笑)男性のところにはあまり人がいないのに、福娘が配るところには人が殺到していて近づけない!
そして福娘に吉兆をつけてもらう人たちでごった返す本殿。押されたりぶつかられたり、ここは満員電車か。
金の烏帽子に、真っ白と朱の衣装を身につけた福娘さんたちが可愛らしい。
小判や打ち出の小槌の吉兆。うーん、わかりやすい(笑)
こちらは米俵。
一年の商売繁盛を願って、次から次へと人が押し寄せてきますが、福娘たちが一生懸命つけてくれます。
人が多すぎて動けない状態だったのですが、そこに行列が到着して、さらにカオスに。福娘のところも立入禁止になって、行列が通るスペースをあけるために押し合いへし合いではぐれそうになりながら、なんとか端っこによると、宝恵駕籠から下りた参加者たちや徒歩で練り歩いていた参加者が本殿の中へと入っていきます。
ミズえびすばし。
心斎橋トップレディ。
芸妓さんたち。
この後、本殿の中で儀式が始まったので、私たちは撤退、若干人酔いしました。
それでも参道を歩く人々の晴れやかな顔ときたら!この一年いいことがありますように、商売繁盛でありますように、と願う人々の顔こそがまるでえべっさんそのもの。
私もまがりなりにもフリーランスとして商売をしているということもあり、今年一年いい仕事と出会えるようにお願いしておきました。「えべっさん、たのんまっせ!」
【イベント情報】
イベント名/十日戎(とおかえびす)
会場/今宮戎神社
日時/1月9日、10日、11日