ある朝、グレゴリー（という男）が急に虫になっていたという非現実的な小説「変身」。その著者こそフランツ・カフカ。チェコの作家。
すごーく昔に読んだ覚えがあるけれど、なんだかよく理解できなかったな。なんなんだ、虫？なので、特に良い印象もなかった作家なのだが、フランツ・カフカ – Wikipediaに、カフカの知人が彼を評した言葉がのっていた。
ドクトル・カフカは非常に礼儀正しい紳士で、挨拶をすれば品のいい微笑とともに穏やかな会釈を返し、部屋がノックされれば、他の人のように『どうぞ』と怒鳴るのではなく静かな声で『お入り』と言った。感じのいい人で聖人のように思えるくらいだったが、いつもガラスの壁の向こうにいるように感じた。
「変身」だけ読んだ限りでは、作風とはまたちょっと違う印象があるね。
で、そのカフカを2002年度アカデミー賞短編アニメーション部門に「頭山」でノミネートされた、アニメーション作家「山村浩二」が手がけた作品「カフカ 田舎医者」が来週末、11/17（土）いよいよ公開になります。
アニメは20分という短いもの。ストーリーは…
映画『カフカ 田舎医者』公式サイト
田舎医者は困り果てていた。すぐにでも患者のところに行かねばならない。そんな時、ふと目の前に突如あらわれた馬子。馬に乗ると一瞬にして遠く離れた患者宅に到着した。何か困ったことが起こると、神様は私に救いの手を差し伸べてくれる？？。
暑く湿った部屋。すすり泣く家族。脇腹に薔薇色の傷を咲かせた少年。馬子に手篭めにされてしまった女中ローザ。だが、どうしようもない出来事ばかりを前にして私は何もできない。私は医者だ。私は無能だ。自分を救うために自分を騙し、こうして私はまた絶望の朝を迎える・・・・・・。
あー、なんというか、こういう絶望感はカフカの「変身」にも通じるものがあるな。救えない感じ。
声優人も豪華で、お豆腐狂言（これは茂山家のテーマのようなもの、らしい。お豆腐のような狂言？）の茂山千五郎家の役者が勢揃い。それも主人公医者の声は、人間国宝・茂山千作。それだけでも興味深いのだが…。
あと、馬子に手込めにされたお手伝い「ローザ」は、「蛇にピアス」で芥川賞をとった作家。
声の出演 医者：茂山千作
医者の心の声一：茂山 茂
医者の心の声二：茂山童司
馬子：茂山七五三
少年：茂山逸平
ローザ：金原ひとみ
原作：フランツ・カフカ
監督、脚本：山村浩二
話はちょっと脱線しますが、狂言は何度か見たことがあるんですけど結構面白いですよね。喜劇というのは、一番人に伝わりやすいし。だから、反対に「能」や「歌舞伎」は狂言よりもうちょっと敷居が高い印象があるんですけど。一階京都の祇園にある「南座」で歌舞伎を見てみたいと思ってはいるものの未だ行ってません。
で、「能」といえば思い出すのは「道成寺」。確か「鐘」の中にシテが入るというとても危険な演目らしい。これは、ギャラリーフェイク (5)で読んだのだった。
ギャラリーフェイクに戻る
「舞台の上の吊り鐘、邪魔じゃないの」「あれは鐘入りの鐘さ。道成寺のクライマックスは鐘入りだ。怨霊と正体の知れた白拍子が鐘の中で身を隠す場面だ。シテが鐘に飛び込むと、同時に鐘が落下する。この瞬間が実に危険なのだ」
道成寺 de 道成寺！？｜SOJA（茂山家ブログ）で、実際にその道成寺で「道成寺」をやったという記事がのっていたので、ちょっと思い出したのでした。
閑話休題。
ところで、この監督に関しては、私は数年前にあるPVを見て知りました。なんて変わったアニメーションなんだろうと思って。気持ち悪くて、おかしくて、派手で、でもなんか気になる。それが、中村一義の「ジュビリー」でした。
ね、変でしょ？すごく。（笑）
この人の撮った別の作品で「年をとった鰐」というのもあるんだけど、確かこれはレオポルド・ジョボー原作じゃなかったかな。と思って検索したら、自分のエントリーが出てきたよｗ
11/17からシネカノン有楽町2丁目（新館）でモーニング・レイトショー。関西では、大阪の梅田ガーデンシネマ（12月15日(土)～）、京都の京都みなみ会館（1月5日(土)～）、兵庫のシネカノン神戸（12月22日(土)～）でやるようです。
ncc | クリエイターポータルサイト – 山村浩二新作『カフカ 田舎医者』まもなく公開によると、
今回の劇場公開は、表題作をはじめ『頭山』『年をとった鰐』『校長先生とクジラ』同時上映。新作だけでなく、過去の作品を見逃してしまった人も劇場で彼の作品を見れるまたとないチャンス！
だ、そーですよ。うーん、見たい。京都は来年ですね。ちょっと待ってみるかな。
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