国宝・鳥獣人物戯画。作者不明のこのユーモアあふれるイラストは、800年たった今でも人々を惹きつけてやみません。今回、明治以来130年ぶりに4年がかりで行われた修復を記念して、「甲・乙・丙・丁」の4巻が同時に展示されています。この稀有な機会を逃してはなるものか、と友人と一緒に観てきましたが…素晴らしかった!!
実は京都国立博物館を訪れるのは初めて。
週末はひどい混雑だと聞いていたので(「鳥獣戯画展」公式ツイッター (@chojugiga_ten)と国宝 鳥獣戯画と高山寺&平成知新館 (@izanai_choju)では混雑状況を一時間ごとにツイートしてくれるのですごく参考になりました)、できれば週末は避けたいな、と思っていたところ、平日に友だちと京都で会うことになったのでナイスタイミングとばかりに行くことに。
色々予定もあるだろうからランチだけかな、と思っていたのですが、話も盛り上がったところで京博の話をすると一緒に行く!と言ってくれたので慌てて席をたって、市バスに乗って京博へ。
17時受付終了なのですが、ぎりぎりセーフ。さすがぎりぎりだけあって入場は一切待たずにすっと入ることが出来ました。
最初は、鳥獣戯画を所蔵している京都・高台寺の収蔵品や、高台寺を再興した明恵上人を描いた「明恵上人樹上座禅像」などが展示されていました。二股にわかれた松の枝の上に座った明恵上人を弟子が描いたものだと言われています。肖像画なのに人物が小さく背景の自然と溶け込んだように描かれているのが珍しいのだそう。(※ちなみに鳥獣戯画は文化財ということもあり、普段も所蔵している高山寺ではなく京博で保管されています)
他にも、明恵上人が座右において愛玩した遺愛の犬とされる木彫の犬は、なんともユニークな表情で可愛い。また玉眼が美しい神鹿も。
8歳で父母を失い、生涯を仏の道に捧げますが、24歳の時に思いつめ仏眼像の前で右耳を自分で切り落とした明恵上人。和歌の才にもあふれこんな詩を残しているのですが、これがまた突き抜けています。
「あかあかや あかあかあかや あかあかや
あかあかあかや あかあかや月」
明恵が月の歌人とも呼ばれる所以たるものの一作でしょう。あかあかと冴え渡る月の明るさをこんなにも自由に歌った詩が他にあるでしょうか。
明恵上人については白洲正子の著作があるので、ちょっとまた読んでみようと思います。
展示を通り抜けて、いよいよ鳥獣人物戯画。甲巻のみ20分ほど行列がありましたが、展示の前では立ち止まらないようスタッフの方が常に声をかけているので、ゆっくりゆっくり一列になって進んでいきます。じっくり見たいところですが、こればかりは仕方ないですよねー。
今回の修復でわかった新発見(丙巻では、本来は一枚の紙の表と裏に書かれたものが、相剥(あいへぎ)と呼ばれる手法で薄く二枚にわけて、一巻に仕立ててあることなど)も、事前にTV日曜美術館や美の巨人たちで予習していたおかげもあって、実際にそれを目にしてちょっと感動でした。
前期と後期にわかれての展示だったので、巻すべてを見ることは出来なかったのですが、それでも見に行って良かったです。
この秋、新しい常設展示館「平成知新館」がオープンしたばかり。こちらもまた機会を見つけて訪れてみたい。
購入したグッズ
マグネット。
スタンプ。
ポストカード。
鳥獣戯画展限定ポストカード。
鳥獣戯画展は本日までです。まだ行かれていない方はぜひぜひぜひ!
鳥獣戯画展
会期:2014年10月7日(火) ─ 11月24日(月・休)
開館時間:午前9時30分~午後6時
場所:京都国立博物館
※三連休中は入場締め切り時間は17時半。
来春、東京国立博物館での公開があるので関東近辺の方はお楽しみに!