先月、とうとう自分にとってぴったりの書き心地を与えてくれる万年筆に出会いました。国産の万年筆メーカー、Plutinum(プラチナ)の「#3776 Century(サンナナナナロク センチュリー)」です。
目次
欲しくなったきっかけ
既にkakunoやSafariは持っているのですがペン先が太く書き心地の点ではそれほど気に入っていませんでした。kakunoのFも試筆してみて悪くはなかったのですが、3月、自分への誕生日プレゼントとして、どうせなら一生使えるちょっといい万年筆を手に入れようと思いたったのでした。
ネットで購入した方が安いのですが、やはり万年筆は実際に試筆してみないとわかりません。そしてその万年筆でいつも自分が使用するであろうノートを持っていって、そこに試筆させてもらうことで相性を見てみたかったのもあります。
いろんな万年筆を試してみたかったのですが、万年筆専門店はちょっと敷居が高いな〜とtwitterでつぶやいてみたところ、@trmdさんに「ここいいよ」と教えてもらった心斎橋の万年筆専門店に行くことにしました。
女性スタッフばかりの心斎橋の万年筆専門店「Ir Sunrise」へ
心斎橋のユニクロからそれほど遠くない路地を入ったところにあるペンラウンジ「Ir Sunrise(アイアール・サンライズ)」です。
まさかこんなところに万年筆のお店があるとは!
心斎橋には何度も来てこの周辺もよく通っていたのですが全く気づきませんでした。
ここのお店にはスタッフが3名いらっしゃるのですが、みなさん女性。なのでとても入りやすいし、相談しやすい雰囲気でほっとしました。そして、このお店には「ペンドクター」がいらっしゃるので、買った後の調整や修理も安心しておまかせできます。
ペンドクターとは、万年筆のペン先を調整できる技術をもった方。川口明弘氏の弟子で、女性初のペンドクター・宍倉潔子さんがいらっしゃいます。
彼女がペンドクターとして働くようになったきっかけなどについては
趣味の文具箱 Vol.25 に掲載されているので、興味がある方はぜひ読んでみてください。
「プラチナ #3776 センチュリー(UEF)」に決めた理由
お店では、女性のスタッフの方が一人ついてくださって、自分の好み(細字が好き)や、どういう局面で使うか(ノートに細かい字で日記を書いたり、ポストカードにぎっしり文章を書きたい)というのを伝えると、やはり外国のメーカーより日本のメーカーの方が同じF(細字)でも細いので日本の方がおすすめです、とおっしゃって、まずはプラチナセンチュリーの極細(EF)、細字(F)、そしてセーラープロフィットスタンダード極細(EF)、細字(F)を試筆させてもらいました。
どちらも漢字がつぶれることなく、細かい字を書くのにはぴったりなのですが、プラチナセンチュリーの方がどちらかというと少しカリカリするかな、という印象。これはもう好みの問題でしょうね。こういうカリカリ感が好きな人はこっちの方がいいし、滑らかな方がお好きならセーラーのプロフィットの方がいいでしょう。
私はプラチナセンチュリーの方が好みだったんですが、んーもう少し細い方がいいなーと思っていたら、さらに細いのもありますよ、と出してきてくださったのが、超極細(UEF)のプラチナセンチュリー#3776でした。
書いてみると、さらにカリカリ感が増しましたが(UEFなのでペン先が非常に細く、細ければ細いほどカリカリ感がプラスされます)、もう本当に細い!
ボールペンで言うなら、ハイテックCの0.3mmぐらいですね。
ここまで細いと、万年筆特有の色の濃淡などは結構わかりにくいのですが、日記や小さなポストカードにぎっしり細かく字を書くには本当にぴったりの細さで、まさに私が探していたのはこれだ!と。
ほとんど力を入れずに書くのがポイント。筆圧が強い人にはあまり向かないかもしれませんが、私のようにサラサラっと筆圧をかけずに書くタイプの人間には向いています。日本のメーカーにしか作れない特殊なペン先と言ってもいいのではないでしょうか。
UEFは色はブラックしかありません。
EF(極細)だったら、前々から気になっていた「シャルトルブルー」と決めていました。フランスの世界遺産「シャルトル大聖堂」にあるステンドグラスの深い蒼色。それを再現した軸は本当に美しい。
ただ、残念ながらUEF(超極細)には色の選択肢はありません。色で決めるか、書き心地で決めるか…本当に迷って迷って。
でも結局スタッフさんの「書き心地が一番ですよ。いくら気に入ったデザインでも書き心地が良くなければ使わなくなります」という一言にはっとしました。そう、そうですよね。Safariだってデザインはすごくお気に入りだけど、結局あまり使わないのは書き心地がしっくりきていないから。
危ない危ない、また同じ轍を踏むところでした。
というわけで、万年筆らしいBlackの軸をもつ#3776センチュリー(UEF)に決めました。
#3776の意味
ところで、「3776」とはどうしてつけられたのか?
名称は、日本最高峰の品質を目指し、富士山の標高を表わす数字にちなんでつけられました。
ということだそう。
インクが乾きにくい「スリップシール機構」のキャップ
さて、プラチナの万年筆の素晴らしい点がもう一つ。それは「インクが乾きにくい」ということです。
従来の万年筆であれば、どうしても数ヶ月使わない状態でいるといろんなトラブルが起こりました。
1. インクの水分が蒸発し、だんだん濃くなり、かすれ気味になる。
2. 3 ~ 6 ヶ月使用しないと、乾燥して書けなくなる。
3. インクの水分が揮発して染料分が内部構造にこびり付き、 インククリーナーセットによる洗浄が必要になる。
最悪の場合、メーカー宛に修理(分解して洗浄)を依頼しなければならなくなる。
それを解消するために、プラチナが開発したのが「スリップシール機構」という特殊な完全気密キャップ。これを採用したことで数ヶ月使用しない状態でも、インクが乾かないという素晴らしい万年筆が完成。
何本も万年筆を抱えている人には、とってもありがたい仕様です。そして今回、初めてコンバーターに挑戦。今までの万年筆は全てカートリッジ式だったので、実際にどういう風に入れるのかをスタッフさんに実施で見せていただきました。やっぱりコンバーターだといろんなインクが試せるからいいですよね。
キャンペーンで「Ir Sunrise」オリジナルインクをもらいました
そしてラッキーなことに、「3月1日~末まで『消費税アップ前キャンペーン』」が展開されていて、本体1万円以上の万年筆を買った人対象で先着30名までにオリジナルボトルインクがプレゼントされるということで、私も1ついただけることに。
ナイスタイミング!
オリジナルインクは5種類。その中から落ち着いたカカオブラウンをいただきました。
トラベラーズノート × #3776 センチュリー(UEF)
今、ほぼ毎日トラベラーズノートに日記を書いています。
それがびっくりするほど書き心地が良くて、自分にぴったりくる万年筆ってなんて気持ちいいんだろうとしみじみ感じています。
本当に、さらさら〜とすべるように書けるので、「筆がのる」ってこういうことなんだなと実感。いつまでも文字を書いていたくなります。ボールペンと違って長時間握っていても疲れません。インクが綺麗に出るので、力がいらない。
手と一体化しているようです。
自分好みの万年筆と出会えた幸せを噛み締めている今日このごろでした。
【店舗情報】
店名/Ir Sunrise(アイアール・サンライズ)
住所/大阪府大阪市中央区心斎橋筋1-3-28 ビギ1stビル1階
TEL/06-6281-5123
定休日/毎週火曜日
営業時間/午前11時~午後8時