もう騙されるものかと誓った

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【ハーフタイム】
 5/1(火)2(水)は通常通りの出勤デイ。なんとなくあんまりやる気が出ない二日間。作戦タイムも終わりに近づいた頃、私の東京トリップはいつのまにか決まっていたわけで。

【後半戦】
 5/3(木) 約束のデートの日。私はちょっと緊張をしている。約束の時刻までは随分時間があって、初めて自分で新幹線のチケットをとるという経験をする。予約、という言葉を使ったら、予約だって?という怪訝そうな顔をされたので、ちょっと赤くなってしまった。あんまり言わないのかな。

 指定席とか自由席とか、のぞみとかこどまとか馴染みのない言葉が多くてなんだかよくわからないまま、前日に「JRおでかけネット」で調べた時間帯の新幹線を言ったら、対応をしてくれた駅員は「研修中」のプレートを彼の胸にしっかりとつけていて、お互いが新米すぎてどうもぎこちないやりとりをしたのでした。後ろにいる先輩駅員が指示をしてくれなかったら、ずいぶん無駄なやりとりをすることになった気がする。

 GW後半戦初日ということで混んでいて座れないのは嫌だし、と指定席で無事に券を購入。そうしたら、乗車券+特急券+指定席券(2枚=途中乗り換えあり)と4枚も券があって困ってしまった。一体どの券を入れたらいいのさ。(乗車券と特急券を一緒にいれたらいい、というのは後でわかりました。まったくもう)

 それでも随分時間があったので、私は木のベンチに腰掛けて村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル 第一部 泥棒かささぎ編」を読み始めた。

台所でスパゲティーをゆでているときに、電話がかかってきた。僕はFM放送にあわせてロッシーニの『泥棒かささぎ』の序曲を口笛で吹いていた。スパゲティーをゆでるにはまずうってつけの音楽だった。

そのまま家を出て、一時間ばかり散歩してから家に帰ったら、彼女の機嫌がすっかり戻っていたというようなことになったらいいのにな、と僕は思った。でもそんなことが起こる可能性はゼロだった。それは僕が自分の手で解決しなくてはならないことだった。

そのとおりだ。全く。

 10分ほど遅れてやってきた彼と、私はちょっとだけ唇をあげて「こんにちは」と挨拶をかわす。

 バーに行くには早すぎるから、ちょっとカフェでも行きますか、とゆずティーの美味しいカフェに連れていってくれた。普通のゆずティとはちょっと違う。

 

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 芥川龍之介の「藪の中」が好きだというので、ちょっと嬉しくなった。

地獄変・邪宗門・好色・薮の中 他七篇
芥川 龍之介
岩波書店 (1980/01)
売り上げランキング: 12256

 そう。私も彼の作品の中ではこれは結構好きな方なのだ。


藪の中で起きた殺人について、関係者が様々な証言をするのだけれど、同じ出来事の話をしているのにそれぞれの主観が入って全く食い違っている、という話。結末は読み手の想像にまかされる。

 こういう話が好きなのだ、という。似た話として以下の一冊をあげてくれた。ちょっと面白そうなのでメモ。

悪女について
悪女について

posted with amazlet on 07.05.09
有吉 佐和子
新潮社 (1983/03)
売り上げランキング: 50696
おすすめ度の平均: 5.0

4 必読!
5 すごい!最高のエンターテイメント小説!
4 大変面白かったです

あと、「存在の耐えられない軽さ」という本もよかった、と言っていた。タイトルが奇妙なのでなんだか気になる。哲学、ですか。ポストモダンだって?こちらもメモ。

存在の耐えられない軽さ
ミラン クンデラ Milan Kundera 千野 栄一
集英社 (1998/11)
売り上げランキング: 19140
おすすめ度の平均: 4.5

5 大傑作です。
5 たった一回限りの人生
4 恋愛という名の哲学についての考察書

 夜、マジックバーの近くの洋食屋「ABC食堂」へ。滋賀では二番目に古い洋食屋さんだそうで、やわらかい白熱灯に照らされた扉や小さな看板が、まるで古い外国の映画に出てきそうな感じ。あぁ、いいね。こういう感じは好きだな。

 もちろん美味しかったのだけれど、量はちょっと私には多い。でも私はわりとこんなふらっと立ち寄れる洋食のお店が好きなんだよね。自宅の近くにあったら通ってしまいそう。

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 9時ぐらいにようやく、お目当てのマジックバーに。コの字型のカウンターの中には、バーテンダー券マジシャンたちが3人ぐらいいて、お客さんは私たちの他には誰もいない。これは、確かに連れていってもらわないと絶対にわからないし、入りにくい。

 入ってすぐに新人の若い男の子が、テーブルの上に黒いボードをおいて、その上でコインマジックをやってくれる。じぃぃぃぃっとくいいるように見つめているのに全くわからない。どうしてそこにあるコインがここにきているのだ?!

 入れ替わり立ち替わりやってくれたんですが、7年ほどやっている、というカードマジックがとても上手いマジシャンの手さばきに私は見ほれてしまいました。彼の手からつむぎだされるのは本当に魔法のよう。消えたり、出てきたり。なんて綺麗なんだろう。面白い。

 手品って目の前で見せられるのと、テレビで見たりするのとでは全然やっぱり違いますね。こんな近くで自分のためだけにやってくれるショウには感嘆せずにはいられない。まぁ、私が騙されすぎているきらいはあるけれども。確かに。

 連れて行ってくれた人にも「えぇ?!本当に、それ、わからないの?」と呆れられるほど簡単なトリックさえ見抜けぬ私の眼は節穴なのでしょう。

 どうぞ騙してくれればいいよ。騙されるものか、と誓った翌日また騙される~型♪という歌を確か昔、フォークシンガーが唄っていたっけね。そのとおりさ。

 簡単なマジックのしかけを教えてもらったりしていると随分遅くになってしまって、次の日のトーキョープチトリップの準備もしていないのに…と帰ろうとしたら、「まだ飲み足りないんだけど、もう少し飲まない?」と誘われましたが、さすがに今日はもう無理だよ、と断って帰宅。眠い目をこすりながら友達と電話をしつつ準備をするはめに。

 まぁ、でも面白かったよ。初めての体験。また行ってもいいと思うぐらい。手品はとけなくて悔しいけど、うまく騙してくれたから。

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