(前回の続き)
二条から下りていく途中で、FUTABA家具やランダムウォーク、はたまた阪急の雑貨ショップに寄ったりしていると(あまりに寒いので途中で暖まっていかないと耐えられなくなるのだ)、太陽は急速に落ちてゆく。
寺町御池交差点の真ん中で。
そんな風に寄り道をしていたら、はっと気づけば18時前になっていた。あぁ、「裏具」に行きたかったのに…。「裏具」は、そう、18時まで。そんなことは先刻承知だったのに、何もかも冬のせいだ。がっかりである。
しかし、ちょうどいい時間だ。
花灯路が始まる。
ゆっくりと灯がともされ、古都がほのかに照らされ、幽玄の世界が広がり始めた。
私たちはゆっくりと人の波に流されながら、八坂神社へと向かう。つまらない雑談を時折交えながら工事中の西楼門をくぐると、つもなら既に店じまいになっている露店が、こうこうと明かりをつけ私たちを優しく出迎えてくれていた。
いくつもの提灯が吊された舞殿を正面に見据えながら、円山公園へと抜ける。
振り返れば、陽が落ちた後の冷たい青とあたたかなオレンジ色のコントラストが本当に綺麗で、思わず息をのむ。
春といえば、
円山公園の枝垂れ桜が有名だけれど、まだまだ全然ただの枝垂れだった。ところで、公園の中には「長楽館」という明治時代に建てられたルネサンス様式の洋館がある。元は迎賓館として使われていただけあって豪奢だ。その門の前で、ホットワインが配られていたから、ワイン好きのシキ君と共に一杯ずついただくことにした。長楽館の中庭にはイルミネーションで彩られた一本の大きな木があって、その下に腰掛けて、おずおずと口にしたさくらんぼの木から作ったというホットワインはとても甘くて美味しくて、驚いてしまった。
私は赤ワインの渋みが苦手で、どうしても飲むことが出来なかったし、以前ホットワインを飲んだときもその渋みが消えることはなかったのだけれど、このワインはそんなこと全然なくって、しまった、銘柄を見ておけばよかったと今更後悔するぐらい、美味しかったのだった。
このワインで身体の芯から温まり、陽気な気分でねねの道を歩いていく。
石塀小路ももちろん、こんな具合に。
とはいえ、ホットワインの効き目も切れ身体が冷え切ってしまったので、そろそろ食事でも行こうか、と戻ることに。それにしても、こういうのもっと春も夏も秋も冬(冬はどうかな)やってくれればいいのに。…続く。
こんにちは。今年は楽しみにしていた東山花灯路に間に合うように京都入り出来そうも無くてちょっと寂しかったのですが、素敵な写真と記事で「花灯路」を楽しませていただきました。ありがとうございました。
長楽館のイルミネーション綺麗〜。ホットワインも美味しそうで本当に羨ましいです!