仕事帰り、ちょっと買い物をしたついでに、ふと気まぐれで花束を買うことにした。といっても、とても小さくささやかなブーケ。
5分ほど、ショウケースの前で真剣に悩んだ後、やっぱり彼女にはこの色が一番しっくりくるな、と薄いピンク色のミニ薔薇を選んだ。
彼女がこの色が好きだとかそういうわけではないのだけれど、時々まるで子供のような事を言う彼女のまわりには、こんな風にふぅわりとした明るい春の色がいつも見える気がする。
以前にも書いたように、私は仰々しい大きな花束というものがあまり好きではない。もちろん、綺麗だとは思うけれど、自己主張が強すぎてあてられてしまうんだろう、多分。
それよりも、私はただ一輪の、端正で凛とした薔薇だったり、一色か二色で彩られた小さな小さなブーケを嬉しいと思う。
その静かな佇まいに惹かれる。
帰宅して、「はい、どうぞ」と渡すと、母さんは少し驚いた風に受け取った。「もらってきたの?」だって。馬鹿だな。
こんな風に、何かをあげたくなる日が時々ある。そんな夜だってあってもいい。
お花を贈って、気を悪くする人なんて、
ほぼいませんよね。
縁起が悪いのとか、花言葉が思っていたのと違っていた以外は。
お母さんは、喜んでらっしゃるに違いないです。