瀧本幹也という写真家がいる。パルコやとしまえんのポスターの写真、福山雅治のキューピーマヨネーズのCM、WITCHや広告批評の表紙写真など、多くを手がけた人だ。私が彼を知ったのはデザインノートというムックのNo.5「フォト・ディレクション」でとりあげられていたからだった。
撮影するにあたってはもちろんラフスケッチがある。だけど彼はその通りに撮ろうとするんじゃない。
「ラフスケッチを現実のものとして撮影するためにいろいろと『作り込む』のが広告写真ですが、それだけではなくて、現場で『新しい発見』をして、さらに『飛躍する』ことの醍醐味が味わいたい。この『作る・発見する・飛躍する』というのが、カメラマンの僕が考えるフォトディレクションです」
「ファインダーをのぞいてはじめてわかることがあるんです。このような光りが当たると、こんな風に見えるんだって。そのうえいろんなハプニングが現場では起こりますから、その偶然性をも取り入れる自由度が欲しい」
そして、デザインノートには、当時まだ発売されていなかった彼のプライベートワーク「観光地シリーズ」がいくつか紹介されていて、私の目はその写真たちに釘付けになった。なんてポップでユニークで、アイロニックな視線に満ちて、それでいて楽しい写真なんだろうか。これらの写真は、いわゆる観光地、日本の金閣寺だったり、パリのエッフェル塔だったり、シドニーのオペラハウスをロケ地とし、そこに集まる観光客をとったもの。この作品集はきっと私は気に入るだろう、という気がした。
そうして、いよいよその写真集が昨年リトルモアから出版されたのだ。
以下詳細。
SIGHTSEEING 瀧本幹也エジプト・ギザのピラミッド、
フランス・パリのエッフェル塔、
アメリカ・ニューヨークの自由の女神……
だれもが一度は目にしたことのある超有名観光地 へ、
人々は訪れ、群がり、そして写真を撮る。年齢も人種も異なる世界中の人々が一様に“観光”する様は、
不思議なユーモラスとともに、現代社会の奇妙なゆがみまで
想起させます。写真家・瀧本幹也がライフワークとして取り組んできた
「観光地シリーズ」。
統一されたコンセプトとヴィヴィッドな写真の色合いが
見る者に強烈なインパクトを与える一冊です。
この写真集の発刊と同時に、東京タワーで記念写真展が開催されたのだけれど、それは紹介する前に終わってしまい、あぁ、みなにみてもらいたかったとがっかりしていたのだけれど、青山ブックセンターでも今ちょうどしていることに気づいた。写真集は、服部一成氏がデザインしている。これはきっととてもとても良さそうなので、写真が好きな人もデザインが好きな人にも、そうでない人も出来るだけ多くの人に見てきてほしいと思う。あぁ、関西でもしてくれないかな。
青山ブックセンター:ギャラリー瀧本幹也写真展 SIGHTSEEING
青山ブックセンター本店内
ギャラリースペース
2007年2月20日(火)~3月6日(火)
10:00-22:00(最終日は19:00まで)
もちろん、写真集は買うと思います。私は基本的に写真集はあまり買わないけれど、これは例外的に欲しいと思った2冊目の本。
リトルモア (2007/01/17)
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友達がアシスタントをしていますので地方の私も現場の雰囲気を感じられました。
観光地シリーズ映像もよかったですね。