（前回の続き…）
「久しぶり…」
「…久しぶり」
と私は照れ笑いを返す。
ジェイ君とシキ君二人揃ってお出迎えだ。まるで学生時代に戻ったかのような錯覚を一瞬おこしそうになる。こうしてみんなでキャンパスを歩いて、学食で安いランチを食べていたっけ。うちの大学のホットサンドはなかなか美味しかったな。
誰も行く店の地図さえ持ってきておらず、他人まかせだな、まったく、と曖昧に歩き出した。
しかし、駅からはとても近いのだった。手前にそれらしき建物があったから、そこに入りそうになったら、ジェイ君にそれは別館だし、ととめられる。なるほど。向こうの方で緑色に笹が光っている店だった。それが「平林亭」京都駅前店。ひらりんてい、と読む。シキ君が「ひらばやし亭だっけ」とボケるので、「普通に人の家だろーが、それじゃ」とジェイ君と私につっこまれていた。ひらばやし邸…って。
入り口に予約した人の名前が書いてあって、まるで式場みたいね、ってちょっと苦笑い。外観はとても派手で、 う、これはちょっと…と嫌な予感がする。入ると左手にカウンターがあって店の中はなかなかの賑わい。そのせいか、個室に案内されてから注文をしたのだけれど、飲み物を持ってきてもらってから食べ物がくるまでわりと時間がかかった。
（箸置き）
ちょっと遅いな、と感じ始めたところで店員がやってきて、こみあっていて時間がかかって申し訳ない、と丁寧に謝罪が。その上、店からお詫びのしるしに、と枝豆一皿がふるまわれる。そんなの仕方ないことなのに、とその対応に少し驚く。
ジェイ君は本質的にはほとんど変わっていなかった。相変わらず謙虚さのかけらも見あたらないくせに、謙虚になったってまったくもう。（笑）まぁ、そこが彼の面白いところではある。会社を立ち上げてもうあと数ヶ月で一年になるようで、かなり充実していると笑ってた。
私はこういう席ではたいてい聞き役にまわって、うんうんと聞いている。その方が楽だし、聞いてるのが好きだから。自分の事も話すけれど、うまく説明できないことも多くあるからさ。
「そういえば、名刺ちょうだい」と言われたので、会社の名刺は今持ってないんだけど、と最近作った、プライベート名刺を渡すと、「おれ、そらさんのセンスは結構いいと思ってるから」とさりげなく伝えてくれたのが、とても嬉しかった。ありがとう。私自身のことが好きだと言われるより、正直、すごく嬉しいよ。
この串の盛り合わせ（15本）はどれもなかなかの味！たれとスパイスも6種類ついてくるから飽きない。
スタッフの対応は満足のいくもので、味に関しても、三人とも「ここ、結構美味しいな」と笑みがこぼれるくらい。若干周囲の騒々しさが気になる近さではあるし、個室にしてももうちょっと広い方がいいことはいいけれど、スタッフの対応がよいからそんなに気になるほどじゃないな、と思える。
９時半にはそこを出て「寒い、寒い！」と言いあいながら駅に向かう三人。酔いもさめそうだ。結局私は、柚子小町をロックで一杯、あと芋焼酎をロックで二杯程度かな。ジェイ君とはまたしばらくさよならだ。新幹線へと向かう彼を改札で見送ってから、「ちょっとこれは早すぎるよな。お茶でもしようか」とシキ君が言うので、こくりと頷いて歩きだした。
駅前のスターバックスへ。私はコーヒーは飲めないんだけれど、カフェオレは飲める。最近、寒くなってきたからカフェオレが飲みたくて会社でも朝の一杯はいつもカフェオレ。そしてその日は「カフェモカ」を頼んだ。
エスプレッソにチョコレートシロップとミルク、ホットにはホイップクリームがのっている、熱くてあまーいコーヒー。甘すぎるのも嫌いだけどこういうのは最初だけはほんとうに美味しいと思う。
スターバックスのカップがクリスマス仕様になっていてすごくキュートだった。今、クリスマスの特設サイトが公開されてます。これが意外といい感じで、友人にメッセージを送れたり、世界の様々な慣習が見られたり、投稿できたりします。夜の書斎デスクという感じで雰囲気づくりがうまいね。
そこで数時間喋って、最近読んだ小説の話をしてもらう。私は、誰かに小説のあらすじを喋ってもらうのがとても好きで、私はいつまでも聞いていたいと思う。でもこれはミステリーだから、これ以上言うとばれてしまうけどいいの？と聞かれてあわててとめつつも、でももうちょっと！もうちょっとだけぎりぎりのとこまで教えて、とストーリーをせがむ。小説のあらすじをきちんと喋ることが出来るというのは、一種の才能だなぁと思う。
最終の快速にのって帰宅。楽しい夜。
【お店データ】
平林亭 京都駅前店
hotpepper ぐるなび Leaf
京都府京都市南区東九条上御霊町２‐１９
tel 075-681-3000
火曜日定休
17:00-2:00
