【大人の遠足シリーズ】高月の渡岸寺にある国宝十一面観音像を見に行ったのに…(滋賀)

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滋賀県の湖北にある高月町には、国宝の十一面観音像があります。前々からこの観音様が非常に優美で他の観音様と比べて素晴らしい!ということを人づてに聞いていたので、近くの温泉に行ったついでに寄ってみることにしました。

道を間違えてかなり細い路地を入っていく羽目になったのですが、実は広い道に出ていた標識どおりに曲がればまっすぐ到着したのに…。失敗。

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十一面観音像がある渡岸寺(広源寺)の前には、樹齢300年以上の欅(けやき)のご神木が祀られており、雄大でまさに神様が宿っている木として相応しい格を備えていました。P9160065

おそらく、私が両手を広げても指先がつくことはないほど太い幹。青い空に映える緑の葉が美しく、思わず手をあわせてしまいました。

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このあたりは田舎の小さな集落なので、側を流れる小川にはまだまだこんなレトロな堰を見ることが出来ます。

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せせらぎも透明感のある美しい水で、緑がうつりこんで綺麗。

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ちょうど16時を少し過ぎた頃でしたが、まだまだ日は高く残暑厳しい9月の初めです。

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仁王門には木造金剛力士立像。

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手水舎で手と口を清めます。

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いざ、参拝…!!!

と向かったら、どうも多くの人がこちらに向かって帰ってきます。え…なんだか嫌な予感が…まさかまさか…。。

「あ、観音堂の拝観は16時までなんや、すまんなぁ」

ガーーーン!ショック。

普通拝観は17時までのことが多いので油断していました。16時になるとセコムがかかるそうで…。しょんぼり。せっかく来たのになぁ。

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仕方がないので境内を散策。池の鯉は人に慣れていて近づくだけで口をパクパクして餌を要求します。

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なかなか美しい情景に少しだけ心慰められつつ、再び仁王門を肩を落として出ました。また出直します。

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近くにあった高月歴史民俗資料館に立ち寄ってみました。こちらは17時まで。ポストカードがあればいいなぁと思って寄って正解。やっぱりありました。実際には見られなかったけれど、こうしてポストカードが手に入ってこれはこれで良かったですし、何より受付にいた女性が非常に親切で、色々と高月の十一面観音像について教えてくださってとても興味深いお話を聞くことができました。

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現在、日本には国宝となっている十一面観音像は七体。その中でも長浜渡岸寺の十一面観音は腰のくびれや表情など非常に女性的で柔和な印象を持つ観音像です。日本彫刻史上の最高傑作とみなされ、東洋のビーナス、とも言われてるんだとか。

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高月の十一面観音像は、左に3面、右に3面、正面に3面、そして首の真後ろ、背後に1面、そして本体のお顔で11面になっています。こんな風にきちんとそれぞれの方向をむいているのはあまりないそうで、たいていはすべて正面に顔が揃ってずらりと並んでいるのが多いんだとか。

白洲正子『十一面観音巡礼』

渡岸寺の観音の作者が、どちらかと云えば、悪の表現の方に重きをおいたのは、注意していいことである。ふつうなら一列に並べておく瞋面と、牙出面を、一つずつ耳の後まで下げ、美しい顔の横から、邪悪の相をのぞかせているばかりか、一番恐しい暴悪大笑面を、頭の真後につけている。見ようによっては、後姿の方が動きがあって美しく、前と後と両面から拝めるようになっているのが、ほかの仏像とはちがう。

拝観者からは通常は見えない位置にあるのが、暴悪大笑面と呼ばれる大口を開けて笑っている面です。これは悪への怒りが極まるあまり、悪行を笑って滅するものなんだそう。

渡岸寺の観音堂では、正面に観音様が置かれているため、背後にもまわれるのでこの大笑面もしっかり見ることが出来るらしいです。

16時に行ったら閉まってしまって…と苦笑して言うと、村の人が管理しているのでとのこと。このあたりでは日が暮れたら家に帰る、みたいなゆったりした時間の過ごし方みたいで、そういうものなのかもしれません。

高月は観音の里と呼ばれるけれど、なぜこんなにも観音像がこの一帯に多いのか、と聞いてみると、もともとは昔、山の上にあった寺にすべて祀られていましたが、浅井と織田の戦いの際、戦乱にみまわれたこの地域で、信仰心の篤い村人たちがなんとか寺から観音像を運び出し、田んぼの土中や川の中に埋めて、戦火から必死で守ったそうです。

そのため、このあたりでは手首がなくなっていたり、損傷した観音様も多く、長い間秘像として村の中だけで祀っていたという…。

なので、今でも高月の観音像を祀っているお堂は村の人が管理しているところも多いようで、「観音の里ふるさとまつり」の日以外は事前に連絡してお堂を開けてもらわないといけないようです。

今でも村の人たちの篤い信仰の対象となって、大事に守られているんでしょうね。。お話を聞いているとなんだかちょっと感動してしまいました。

そのうち改めてまた他の観音像もふくめお参りしたいと思っています。ちなみに白洲正子の「十一面観音巡礼」にもこの渡岸寺の観音像については書かれているみたいなので、また本屋で見つけたら買って読んでみたい。

【施設情報】
施設名/渡岸寺観音堂(広源寺)
住所/滋賀県長浜市高月町渡岸寺50
TEL/0749-85-2632
定休日/
拝観時間/〜16:00

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