どうやら「若沖」がブームらしい。
これは数年前に、岡山に旅行に行った時だと思うのですが、郵便局が道にテントをはって切手やら葉書やらを売ってたんですね。(多分岡山だったと思うんだけど)その時は、若沖なんて名前すら知らなかったんですが、あまりに美しく絢爛な絵柄に一目惚れして思わず衝動買いしてしまったもの。
「国際文通週間 1998 動植綵絵・雪中鴛鴦図」(若沖)
他にもいくつかあってどれも美しい。普段、私は動物のものなんて買わないのですがこれは珍しく美しい、と驚いたものです。それが出会い。
以下詳細。
1716年、京都市錦小路の一角にあった「枡屋」の四代目として生まれたのが伊藤若沖。この間「誰でもピカソ」でとりあげられていたのですが、あれはなかなか面白かったな。どうやら「かなり良いとこのぼんぼん」だったのにもかかわず芸事(当時は“芸事”も仕事の一部とみなされていた)は何も出来ず、父親の死により跡は継いだものの日々ぼぉっと過ごしていたらしい。暇と金にあかせて狩野派の絵を模写し、次ぎに中国絵画を模写。およそその間8年。そうして今度は写生、と羨ましい生活をしていたのですが、そのおかげであれほど緻密、かつ、ユニークな表情の動物を描くことが出来るようになったのかもしれません。
若沖の最大の絵画コレクターとされているのがジョー・プライス。フランク・ロイド・ライトに連れられて古美術商に行ってそこで若沖の絵と出会ったらしい。
その彼のコレクションから108点が選ばれ「プライスコレクション 若冲と江戸絵画展」が京都国立近代美術館で始まりました。あぁ、嬉しい!既に東京でも開催されていたので、もしかしたら行かれた方もいらっしゃるかもしれませんね。
会期中は展示替えもあり、前期展示は9月23日から10月15日まで、後期展示は10月17日から11月5日までと、いくつかのコレクションはその会期中しか見ることが出来ないのでお目当てがある方は展示替作品リストを要チェック。
ただし、京都展では、入場券の半券を提示すると2回目以降の入場料金が団体割引と同じ価格になるらしいと、コレクションブログに書かれていたので、両方行くのも手ですね。
特に京都展では、特別展示として
窓が大きく開かれた空間を利用して、プライス邸同様、自然光での展示を試みます。展示されるのは、酒井抱一筆 十二か月花鳥図です。作品の選定と、12幅を一列に並べた12の床の間に展示するレイアウトには、プライス氏自身の意向が反映されています。また床の間の壁面には、桂離宮と同色の、京都鷹ガ峯で採取された土が用いられています。本展示において、自然の光と自然の土、そして抱一の花鳥画が織りなす豊穣な空気をお楽しみください。
障子を通して和らいだ自然光で観る12幅は本当に素敵です。晴れていて明るい光の中では品格ある美しさに魅了され、また夕方暗くなると、白い胡粉が浮き上がり、メリハリのある別の表情を見せてくれます。
会期は平成18年9月23日(土)~11月5日(日)までなので、その間に是非行きたいと思います。これは絶対に行きます。ええ!
→産経新聞京都支局記者の方が書いておられる「晴れ、ときどきKYOTO Life」で、チラシとイベントレポートが掲載されています。