「みんな寂しがってたわ。一週間も来ないのは体の具合が悪いんじゃないかってね。」
「そんなに人気があったとは知らなかったな。」
「……私のこと怒ってる?」
「どうして?」
「ひどいことを言ったからよ。それで謝りたかったの。」
「ねえ、僕のことなら何も気にしなくていい。それでも気になるんなら公園に行って鳩に豆でもまいてやってくれ。」
「おいしかった?」
「とてもね。」
彼女は下唇を軽く噛んだ。
「何故いつも訊ねられるまで何も言わないの?」
「さあね。癖なんだよ。いつも肝心なことだけ言い忘れる。」
「忠告していいかしら?」
「どうぞ。」
「なおさないと損するわよ。」
「多分ね。でもね、ポンコツ車と同じなんだ。何処かを修理すると別のところが目立ってくる。」